068:命の更新日。

甲状腺がん治療&中咽頭がん経過観察 編 068:命の更新日。

 

2018年1月30日(火) 

 

甲状腺の全摘手術&頸部リンパ節郭清から約10か月経過。

 

放射線&抗がん剤治療終了から約7か月半、退院してから約7か月経過。

 

中咽頭がんの完全奏功から約6か月経過。

 


 

現状、トキは九州がんセンターに毎月1回の定期検査に通っています。CT、MRI、エコーなど、毎月、内容を変えながら検査を受けています。半日以上かかることが多いため、検査の日は会社を休むことにしています。口腔外科には、ほぼ毎週1回、通っていますが、こちらは1時間程度で終わることが多いことから、出社時間を遅らすことなどで調整をしています。

 

U先生曰く、『今後、中咽頭がんについては、治療後1年経てば、2か月から3か月に1度の検査となり、そのまま5年経てば卒業。しかし、甲状腺がんについては20年から30年と長い付き合いになり、状態に応じて半年に1度くらいの検査を受けることになるかもしれない』とのことです。

 

 

『また無事に1か月生き延びた・・・』

 

トキは検査の度に、そう思いました。

 

定期検査の日は、トキにとって『命の更新日』でもあるのです。


 

トキは甲状腺がないため、一生、薬は欠かせませんが、調整は上手くいっており、特に体力的にきついということはありませんでした。左手も随分と上がるようになり、味覚も70%くらい回復しましたが、ここしばらくは横ばいが続いています。相変わらず、唾液は少ないため口腔内は常に乾燥しています。そして、頸の締め付けと開口と嚥下の障害は一向に回復する見込みがありません。ストレスも手伝ってか、頸や顔面が麻痺して引きつるような状態が頻繁に起こります。しかし、トキは障害者ではありません。保険も保証もありません。周りには伝わりませんが、一般社会で何ともないかのように生きていかなければなりません。 

 

トキが『がん』に罹患したことを知っている人は皆、挨拶代わりに「体調どう?」と聞きます。

 

トキが「相談がある」と言うと、「もしかして?(再発した)」と言います。半年以上、経った今もです。

 

トキも出来るだけ、生活や仕事の中で責任を負わないように考えて行動をしていました。

 

『次の検査の結果次第では、今、打ち合わせている、この仕事は出来なくなるかもしれない』などと、思ってしまうからです。

 

トモに対して『こんな夫はキライだろうな』。

 

ウタに対して『こんなお父さんはキライだろうな』。

 

トキは、そう思いつつも、いつ再発するかわからない状態と不安に対して、

 

どう向き合ってよいものか悩み苦しんでいました。

 

さて、トキのもとに、昨年1年間分の医療費のお知らせが届きました。

 

『健康保険に入っていて良かった』・・・トキはしみじみ思いました。

 

医療費の総額(円)5435070

 

協会けんぽからの支払額(円)4825778

 

加入者の支払い(円)609292

 


 

トキは会社員で、健康保険組合である協会けんぽ協会に加入しています。限度額適用認定をうけていこともあり、およそ2割以下程度しか、払わずに済みました。トキは改めて、日本の医療保険の手厚さに驚き、高齢化社会へ向けた不安を覚えましたが、今回は、その恩恵にあずかったことも否めませんでした。

 

毎年24日は、ワールドキャンサーデーです。世界中で、がんに関する意識と教育を高め、行動をするための様々な取り組みが行われています。九州がんセンターの中にも、ハート形のリボンにメッセージを書くコーナーが設置してありました。誰に伝えるわけではありませんが、トキも書きました。

 

『歌いたい!』

 


 

2018年2月18日(日)

 

トキは、インターネットで見つけた『がん・バッテン・元気隊』という、がん患者や家族を支えるピアサポーターの会のサロンに参加をしてみました。同じく、がんの罹患者の考え方を聞いてみたかったのです。

 

会場は福祉センターの会議室。明るいオバサマたちが、若手男子のトキを物珍しそうに、もてはやしました。トキは、ちょっとしたアイドル気分です。トキは自己紹介の中で自分の状況や想いを話し、明るいオバサマたちと色々な話をしました。 

 

それぞれの年齢や状況によって想いや考え方、生き方は違いますが、皆、がんの罹患者です。トキは、いつの間にか『がん』で『辛い』ということを堂々と話していました。そう、ここは、そういう話をしてもいい場所なのです。