甲状腺がん治療&中咽頭がん経過観察 編 069:自分の役目を果たす。
2018年7月15日(日) 諸々から約1年経過。(順調)
味覚は70%回復で横ばい。手術痕は随分と薄くなりました。頸の締め付け感と唾液、開口、嚥下の障害は相変わらずです。
一生のことなので慣れるしかありません。
トキは退院してからずっと、2週間に1度は映画を観に行ったことなど、たわいもないことをSNSにアップしています。これは、トキが、がんに罹患したことを知っている方々に向けての生存報告でもあるのです。
山笠の時期。トキは、トモとの会話の途中で、こみ上げてきた本音を抑えられずに叫びました。
「どんな形でも参加できればなんて嘘だ!」
頸の手術の後遺症で左手が上がらない、力が入らない。万が一、棒で顔を打って歯が折れると困る。もう山笠を舁くことは難しい、口が渇くので走ることさえ出来ない。トキはトモの前で「一生よ、もう一生よ!」と、はばからず泣きました。トモも一緒に泣いてくれました。
皆の着替えの手伝いや町内の交通係くらいしか出来ない。衛生まで務めていた自分が、こんな状態で、惨めだと思ったのです。それでも、トキの想いも一緒に背負って走ってくれた仲間たちに恩を返すために、トキは法被に袖を通し、スタート地点に立ちました。
すると、見送るトキの姿に気付いた仲間たちが、無言のまま、トキに深々と頭を下げて行きました。その様子に、トキは自分が惨めだと思ったことを愚かだと思いました。こんなに強く優しい仲間たちと出会い、想いを共にしてきたこと。それこそが、トキが、今、ここに立っている理由なのです。
トキは、この瞬間に、『この大切な仲間たちのために一生懸命、着替えを手伝おう。堂々と胸を張って交通係を務めよう』と思いました。
現在、トキは色んな、がん患者の会やイベントにも参加して自分の経験や状態を活そうと努めています。
この努めは、『自分の辛い経験や状態』に必要性と価値を見出すことで救われたいという、トキの願望でもあります。
普段も隠してはいないので、違和感を持たれたり、迷惑をかける時は事前に話すようにもしています。
そして、もう、歌うことは出来ませんが、
代わりがきかない仲間たちとの時間も再び手にしました。
『イェーイ!!』
今のトキのこの世における役目は、
何故、がんになったのかではなく、
何のために、がんになったのかを考えること。
がんになったなりに生きながら、
がんになった自分の役目を果たすこと。
これがトキにとっての『普通』であり、気が付けば、
ムタさんと同じ83歳になっているといい。
そう、『中2の娘が大したことないやん』と言うので。
※2024年5月6日 時点 生存中。