甲状腺がん治療&中咽頭がん経過観察 編 066:風邪をひいているくらいに思いたい。
2017年8月15日(火) 治療終了から57日目 退院から36日目
トモは日々、色んな『おくすりごはん』を作ってくれます。野菜やキノコ類が中心です。トキは口内炎が、ほぼ完治して、味覚も50%近くまで回復しているような気がしていました。しかし、それ以外の諸々の副作用に何ら変わりはありません。トキは時々、『辛い』と、トモに愚痴をこぼします。トモは少しため息をついて、こう言いました。
「家族としては・・・『風邪』をひいているくらいに思いたい」
トキは、その言葉に腹を立てて、トモに言いました。
「僕の病気は『風邪』じゃない、『がん』なんだ!」
トモは何も言いませんでした。『がん』で辛いと言われては、言い返せるはずもありません。
この時、トキは初めて『あること』に気付きました。
トモは母親を『がん』で亡くしています。病院に看病に通った話も、トキは聞いて知っていました。その上で、自分の『がん』については「出来るだけ周囲の人たちに言わないように」と、トモには伝えていました。
家族ぐるみでお付き合いのある友人から、「旦那さん、元気にしている?」と聞かれても「うん」と嘘をついてもらっていたのです。
つまり、トキは、トモに「辛い」と言えますが、トモは誰にも「辛い」と言えないのです。
トキは今頃になって、このことに気付きましたが、トモにかける言葉は見つけることが出来ませんでした。