中咽頭がん 治療編2 047:やはり髪と、さらに髭まで抜ける。
2017年5月25日(木)(抗がん剤治療1/2回目・放射線治療22/39回目)
1回目の抗がん剤治療から1か月。トキは匂いが嫌だった白米が少し食べられるようになってきました。
味は相変わらず無に近いところですが、つまり、それらの副作用は、日々の放射線ではなく、抗がん剤によるものだったのでしょう。
射線治療も、それなりです。抗がん剤では抜けないと言われていた髪の毛が抜けてきました。
主に放射線が当たっている襟足の部分です。さらに髭も抜けてきました。トキは割と髭が濃い方ですが、既にアゴはツルツルです。生えてもきません。
先日、トキは放射線治療の待合室で「髪の毛が生えそろったのは1年後だった」との会話を聞いていました。
トキは思いました。『1年も剃らなくていいのは楽だが、襟足の髪が無いのは恥ずかしいな。』
さて、そんなトキの放射線治療は既に半分を折り返しています。
そもそもですが、『放射線』と『放射能』の違いって?インターネットで調べたところ、簡単な例えがありました。
『放射性物質』は光を出す能力を持つ懐中電灯。
『放射線』は懐中電灯から出た光。
『放射能』は懐中電灯が光を出す能力。
なるほど。で、今回の放射線量70.2『グレイ(Gy)』って?
『ベクレル(Bq)』放射性物質が放射線を出す能力、放射能の強さを表す単位。
『シーベルト(Sv)』人体が受けた放射線による影響の度合いの単位。
『グレイ(Gy)』放射線のエネルギーが物質や人体の組織に吸収される量の単位。
これは、よくわかりませんが、東日本大震災による福島第一原発の事故以降、『ベクレル』や『シーベルト』という単位はテレビなどで、よく耳にします。しかし、『グレイ』とは特殊で、主にがん治療時の放射線の量を現す単位のようです。因みに、放射線自体は太陽光にも食物にも含まれており、人は少なからず、必ず影響を受けます。
しかし、国の基準ではできるだけ被ばく線量を下げるために、職業として放射線を扱う人でも1年間で50ミリシーベルト以下、一般の人は1年間で1ミリシーベルト以下と線量限度が法律で定められています。トキの放射線治療は週5回、合計39回(総線量70.2グレイ)。根治と予防を目的に最大量、これ以上、当てると脳や骨が溶けるという限界量を当てる予定です。
単位は1000ミリシーベルト=1シーベルト=1グレイです。つまり、トキは通常の1年の量の約7万倍の量を約2か月間でということになります。
勿論、放射線にも色々と種類があるため、自然や原発と一律には比較できませんが、いずれにしても
70.2グレイ(Gy)を一気に全身に浴びると必死です。頸周りに各ピンポイントとはいえ、それなりに、ビビる量です。
因みに、放射線ががんを作る確率は1,000ミリシーベルトあたり一生涯で5%。
その放射線で『がん細胞』を退治するのです。
トキは思いました。『まさに、毒を以て毒を制するという感じだな。』
トキは状態から放射線治療を一刻も早く始めた方が良いとの理由から、最初の10回は通常の3D-CRTで行い、準備を整えからの残りの29回は、よりピンポイントで照射できるIMRTで行っています。
通常の3D-CRTは1回に5分程度でしたが、IMRTは位置の確認などに時間を要するため、1回に20分ほどかかります。機械も寝台も同じであり、当たっている感覚が全くないという意味では、この2つに特に違いはありませんが、網状のフルフェイスマスクで、顔をガッチリと固定されているため、ほぼ、鼻からしか息が出来ません。また、咳が出そうになった時の我慢も大変です。時間が長くなれば、そのリスクも増えますが、トキは、そこをグッと耐えます。地味ですが大切な闘いの要素なのです。
※病院から渡された放射線治療の説明パンフレットに掲載されている写真。
日々の放射線治療は放射線技師が行い、毎週木曜日に放射線治療医師が診察を行います。
本日の診察、放射線治医師によると、現在の状態から、
「予定通りと考えられる」とのこと。
そう、放射線治療は即効ではないため、結果は治療後1か月程、経たないとわからないのです。
そして、トキは放射線治療の医師に力強く言われました。
「本当に見つかって良かったですよね!この調子で頸から下に行かないようにがんばりましょうね!」
『頸から下』・・・すこぶるリアルな言葉です。でも、その通りなのです。
午後にカンファレンスが行われ、U先生からも「うん、予定通り、このままいきます。」とのこと。
つまり、今のところ喉ごと摘出する手術はせずに、このまま放射線&抗がん剤の治療のみを続けるというわけです。ステージ4。もともと、手術なしで根治出来る可能性は50%~60%と言われています。とりあえず、トキの前半戦の成績は、まずまずかと思われます。