027:治るけん、治療するとよ。

中咽頭がん 発覚編 027:治るけん、治療するとよ。

 

2017年4月20日(木)

 

入院前日の夜、トモが仕事で遅かったため、晩御飯はトキとウタの二人きりでした。

 

トキは自分の病気が『がん』であると、ウタに話すかどうか迷っていました。

 

甲状腺の時は『のど』に『できもの』ができたからと、ぼんやりとさせてきましたが、明日から2か月以上も『がんセンター』に入院するのです。それを何と説明すればよいのでしょう。ウタは、もう中学2年生です。14歳です。がんに対してどの程度の知識を持ち、どんなイメージを抱いているのでしょう。トキは上手く嘘はつけないと思いました。トキはウタに話す覚悟を決めました。

 

それは、お父さんは死なないから大丈夫と信じてほしかったからです。

 

 

温かいからでしょうか、落ち着くからでしょうか、ウタは小学生の時まで、よく、トキの膝の上に自分から座っていました。そこで、トキは、ご飯を食べ終わった後、久しぶりに、ウタを膝の上に乗せました。

 

※画像はウタが幼少の頃 


  

14歳のウタは「え、なんで?」 と、少し驚いた様子でした。トキはウタを軽く抱きしめて言いました。 

 

「実は明日から2か月くらい入院することになったとよ」 

 

「なんで?」 

 

「実は、お父さんの喉にできたのは、がんやったんよ。

 

手術は終わったけど、まだ薬とかで治療せないかんらしい。

 

でも治るけん、治療するとよ。

 

治らんなら、治療もせんし、入院もせんけん。

 

・・・やろ?治るけん、治療するとよ」

 

甲状腺だの中咽頭だの、そんなことではなく、ただただ、『がんやけど、治る』と、気が付けば、トキは同じことを何度も何度も繰り返し言っていました。

 

ウタは、『もう、わかったよ』と言わんばかりに飽き飽きした感じで、

 

「うん、わかった」と答えました。

 

トキのしつこさに嫌気が刺した、ウタの様子に、トキは、逆に深刻にならずに済んだと安心していました。

 

明日から、2回目の入院です。ウタのためにも絶対に負けられない闘いが始まるのです。