049:夢中⇒逃避、それでいいのです。

中咽頭がん 治療編3 049:夢中⇒逃避、それでいいのです。

 

2017年5月30日(火)(抗がん剤治療2/2回目・放射線治療25/39回目)

 

 

夕方、トモとウタが6月のカレンダーと、トキの誕生日プレゼントを届けてくれました。プレゼントは、トキがお願いしていたCDSTINGのニューアルバム』です。

 

トキは、このCDを聴き、カレンダーを眺め、テンションを上げて夕食に臨みました。 


 

出ました!スイカです。が、完全に『水』です。

 

トキは、この度、2回目の抗がん剤により、微かにあった味覚も無くし『ゼロ』になったのです。それでも、トキは『食わんと死ぬ』と、いわゆる『水に浸したティッシュ』をカラカラの口の中に入れ、しこたま噛んでは、必死に飲み込み続けました。

 


 

さすがに、抗がん剤です。2回目で慣れているとはいえ、吐き気、倦怠感、食欲不振、微熱、便秘、しゃっくり、そして、利尿促進による2時間おきのおしっこと・・・1回目と同じ副作用がトキを襲います。

 

2017年6月2日(金)(抗がん剤治療2/2回目・放射線治療28/39回目)

 

トキは、割り切って今週はリハビリを休むことにしました。

間仕切りのカーテンも閉め切り、ベッドの上で、ただただ自分のやりたいことに夢中になる。

点滴も放射線治療もシャワーも食事も片手間としてやるくらいの勢いで過ごすことにしたのです。

 


 

買ってから1度しか聴いていないCDや、お気に入りのCDを聴きながら、ウタの大好きな女優、エマ・ワトソンの絵を描いたり、ウタのための小説を書き、その挿絵を描いたりして過ごしました。 

 

トキは夢中になることで逃避しようとしたのです。それでいいのです。

 

 

さらに両親やトモが、香りのよい海苔や佃煮を届けてくれました。しかし、トキは思いました。

 

『やはり、人間は『におい』をおかずにして、ご飯を食べることはできないのだ。』