中咽頭がん 治療編2 039:ノーベル平和賞を受賞するだろう。
2017年5月4日(木)(抗がん剤治療1/2回目・放射線治療8/39回目)
なんと、ゴールデンウィークにて放射線治療も今日から4連休です!
既に昨日から病院自体は休みですが、当然、入院患者に対しては稼働しています。血液検査は月曜日と木曜日。体重測定も木曜日。それ以外は毎朝、看護師が来ては、体温を計り、諸々のチェックがあります。特に口酸っぱく言われるのは口の中を清潔に保つことです。看護師との、お決まりの、やりとり、
「お口の中を見せてください・・・はーい、きれいにされていますね。」
今のところ、この繰り返しです。特に口の中に変化はないため、おススメと言われた刺激の少ない高級歯磨き粉ではなく、一般的な歯磨き粉を使っていました。
ただし、歯磨きと同時に、トキは人生初の舌磨きも使い、それなりにケアをしていますが、この先、どうなることやら?とりあえず、口の中も頸の周りも放射線治療の影響は、まだ何もありません。
さて、トキの姉夫婦が見舞いに来ました。トキは両親に話した時と同じく「がんだけど治療は出来る、死にはしない。」と言うことを必死に伝えるべく、同じような言葉を何度も何度も重ねました。
それを、姉夫婦は「うん、うん。」と、ただひたすら聞いてくれました。
2017年5月5日(金)(抗がん剤治療1/2回目・放射線治療8/39回目)
ウタに頼まれた、ハリー・ポッターのような物語も書き始めました。
タイトルは、『道具職人 マキリの仕事』。マキリとは『魔を切る』という意味です。
架空の世界で、マキリが作った道具達と共に活躍をするファンタジーです。
ノートや、スマホで下書きしたものをパソコンで清書していきます。
因みに、この度の治療途中に万が一、くたばり、物語が途中で終わることの無いように、トキは画期的なことを考えました。最初と最後を書いてしまい、途中は1話完結のエピソードを書ける時に書いて、増やしていけば、形的には、いつの状態でも完成なのです。
というわけで、まずは、最後のエピソードから書き始めました。
内容は最近のニュースからヒントを得たものです。
そう、連日、北朝鮮からミサイルが発射されるニュースで持ちきりです。評論家たちは、こぞって、日々、『ミサイル予報』をしています。
トキは映像職人です。テレビのワイドショーでは『煽った』方が視聴率がとれることも良く知っています。
しかし、今のトキにとっては、いつ発射されるかどうか何て、どうでもいいのです。最も大切なことは、いかにして発射させないかです。
なぜなら、ミサイルが発射され、避難して助かったとしても、治療は、ストップします。
つまり、トキは、ミサイルそのものではなく、『そのこと』によって死ぬのです。
病気と、そして猛烈な副作用と闘っている、トキにとっては、いつ発射されるかばかりを一生懸命、予想している専門家たちの姿がロボットのように見えていました。
『この人たちは、自分の頭上に飛んで来ても、予報が当たったら喜ぶのかな?』この病院で闘っている誰もが、そう思っているのではないかと思い、
トキは物語の中に願いを込めました。
架空の北朝鮮と架空のアメリカが停戦をして、いわゆる核兵器をお互いに廃絶することで、世界中の国も同じく廃絶の流れとなり、大きな平和をもたらすというもの。実は、その仕組まれた芝居の台本を書き上げるのが、
マキリが命を懸けて最期に作った道具『マキリのペン』です
トキは妄想しました。
『この物語が、ネットで拡散して、もし世界的な行動になったら、きっと、僕は、ノーベル平和賞を受賞するだろう。』