034:食べることは生きること。

中咽頭がん 治療編1 034:『食わんと死ぬ!食わんと死ぬ!』

 

2017年4月29日(土)抗がん剤点滴から4日目(抗がん剤治療1/2回目・放射線治療5/39回目)

 

抗がん剤を打ったばかりで、副作用もありますが、なんと、土日は自宅に一泊しても良いのです!が、流石に外出は控えました。

 

夜は、トモが買ってきた、マグロとサーモンの刺身を食べましたが、変な味です。

 

吐き気は随分と治まりました。食欲も多少は出てきたのですが、問題は味覚です。薄いのは勿論、甘味や辛味、また温度の感じ方もバラバラなので、記憶にある、または、想像とは違う変な味なのです。

 

そもそも、がん患者として入院し、治療をしているのに、こうして家で家族と共に『普通に』ご飯を食べて、自分の布団で寝ていること自体が変な感覚でもありました。

 

トキは毎度、思います。『僕は本当にがん患者なのだろうか?・・・この問いも飽きてきたな』

 

日曜日の昼過ぎには『病院』に戻ります。本来、戻るべきは『我が家』なのですが、今は、そんな感覚も仕方ありません。

 

2017年5月1日(月)(抗がん剤治療1/2回目・放射線治療6/39回目)

 

やりました!パンです!朝食に温かいロールパンが2個出ました!

 

トキは、カボチャのポタージュに浸して、『飲み込み』ました。牛乳やジュースも『流し込む』のを手伝います。微かに感じる味を頼りに、固形物を出来るだけ小さく切って、液体で流し込むのです。トキは命がけで食べています。まさに、食べることは、生きることですトキは流し込みながら、心の中で何度も何度も、こう叫びました。

 


 

『食わんと死ぬ!食わんと死ぬ!食わんと死ぬ!』

 

因みに、トキは四人部屋にいます。 トキ以外の三人は、いずれも70~80歳代のおじいさんです。

 

トキと同じ頭頸部のがん治療と思われますが、誰も鼻にチューブを入れていません。味覚で苦戦している感じもありません。治療や入院している目的が違うのでしょうか?いずれにしても、まだ1週間。すれ違いざまに挨拶をする程度。しかも、トキは抗がん剤治療で、まいっていました。まだまだ、これからです。

 

トキは、チャンスがあれば、治療の先輩たちに、色々と話を聞きたいと思っていました。

 

 

さて、ウタから5月分のカレンダー『作ったよ!』との写メが届きました。トキの誕生日にはドーナツのシールが貼ってあります。明日、届けてくれるそうです。

 

トキには支えてくれる家族がいます。

 

妻のトモは勿論のこと、思春期でありながら、父親のがん治療を怖がらず、波風立てずに応援してくれる娘、ウタがいます。これは本当に本当に幸せなことです。