017:ああ、新造人間のようだ。

甲状腺がん 手術編 017:ああ、新造人間のようだ。

 

2017年3月30日(木) 手術翌日

 

ようやく朝を迎え、トキは男性看護師から膀胱留置カテーテルを、にゅるっと抜かれました。何とも言えない気持ち悪さと電気のような痛みが下半身に走りました。そして間もなく、若い主治医が病室に来ました。

 

因みに今後、この若い主治医を『U先生』と呼ぶことにします。

 

U先生は「立ってみましょう」と、トキが立ち上がるのを手伝ってくれました。トキは産まれたての小鹿のようにヨロヨロとしながら立ち上がり、看護師の補助で、そろりそろりと歩き出しました。そのまま診察室に移動して軽く診察、「大丈夫です」と、U先生から言われました。トキは、そのまま、トイレに行ってみました。オシッコが少しだけ出ました。カテーテルを入れていたためでしょうか、再び、電気の様な痛みが下半身に走りました。ふと、手洗い場の鏡に映る自分の姿を見て、トキは思いました。

 

『ああ、新造人間のようだ』。

 


 

頸の手術痕は、テープで被われているため、確認は出来ません。

 

甲状腺が無い感覚も、神経が麻痺しているため、よくわかりません。

 

ただし、手術後の血液など、諸々を出すために、頸の両側に管がついています、これが痛い、

 

物凄く痛いのです。痛み止めの薬をバンバンくれるほどです。

 

一体、これはいつ抜けるのでしょうか?

 

午前中の内に、トキは四人部屋に移動させられました。カーテンで仕切られており、他の患者さんの様子はわかりません。そして、U先生の指示により、水が飲めることを確認、昼食は、お粥でしたが、半分も食べることが出来ませんでした。執刀をされた部長が、トキの様子を見に来ました。

 

「水は飲める?」

 

「はい」

 

「うん、よし!」

 

以上でしたが、トキのことをスタートから診ている部長の顔を見ると、トキは何だか落ち着きました。さらに順調な言葉にも元気づけられました。

 

勿論、病室でも、スマホは使えるので、トキは家族他、手術のことを伝えてある知り合いの皆さんに、手術の成功をラインやメールで知らせました。夕食も、お粥でしたが、何とか半分を食べることが出来ました。そして、トキはテレビを見ながら何となく眠りにつきました。